2008.08.13
坂木司を3冊
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落ち込み気味な気分をちょいと浮上させるべく、軽めの本を借りてきたのですが、読んだらよけいに沈み込みそうになったという。よくあることです。
「名探偵はひきこもり」という帯が気になっていたシリーズ。へぇ、部屋から一歩も出ないのかい、アームチェアディテクティブってやつだね、久しぶりに。などと思って読んでみると、お友達同伴なら買い物も行けるし、動物園も行ける。初対面の人ともちゃんと話せるし、お友達のお友達なら自宅で手作り料理までふるまってしまう。部屋から出られないというより一人で外に出るのが嫌いというプチ引きこもり。そんな鳥井真一くんと、お友達の坂木司くんが主人公の連作短編です。坂木くんが持ち込んだ事件を鳥井くんが解くという、王道なんですが。
どうもこの鳥井くんと坂木くんの関係が不安を掻き立てるのですねー。前にどこかに書いたけど、わたくし、“今は幸せなんだけど近い将来壊れる関係”が苦手でして。死に別れることが決まってるペットの話とか、病気で亡くした配偶者との思い出話とか、そういうやつ。この本の鳥井くんと坂木くんも、二人だけの閉じた世界を作っているのだけど、男二人の共依存的な関係は不健康であり、いつまでも続けられるわけがなく。そういう破綻の匂いがするだけで私はあああああああっとなってしまいます。まぁ最後まで読みましたけど。でもって、ラストは落ち着くところに落ち着いて、想定の範囲内というかなんというか。
ええっと、なんだっけ。内容はですね。3冊あるのでまとめられません。ミステリとしては…被害者も加害者も知り合いだらけで、都合良すぎな感じもします。鳥井くんの推理も、ホームズレベルというか町の占い師レベルというか(指にインクのしみがあるので作家ですね的な)、うーん、まぁそんな感じです。
じゃぁ見どころは何かというと、やはり鳥井くんと坂木くんの関係の変化ってやつなんでしょうなぁ。個人的には不健康で痛々しくて、まったく楽しめる設定ではないんだけれども(あくまで主観)。でも感動しましたとか良かったとかっていう感想が多いらしいので、きっと大多数の人には普通に楽しめるんだと思います。腐女子的視点が加わればなお一層美味しくいただけるのではないかと。
ここまで書いて全然ほめてないことに気付きました。3作目のタイトルでもある“動物園の鳥”。この言葉の意味するところが作中で明らかになるのですが、そのイメージは良いなぁと思いました。そこを読んだときだけ、気持ちがふわりと浮いた気がしたようなしないような。
さて、暑いので今回はこの辺で。次回は間違って借りてきたガンダムを紹介する予定。
2008.08.06
恩田陸 『チョコレートコスモス』『木洩れ日に泳ぐ魚』
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![]() | 木洩れ日に泳ぐ魚 (2007/07) 恩田 陸 商品詳細を見る |
久しぶりの恩田さん。安心して読めます。上手いなぁとしみじみ思いながら読みました。
一冊目。『チョコレートコスモス』。演劇の話です。
なかなか書けない脚本家と、壁に当たりつつある実力派女優、天才肌の新人役者を迎えた学生劇団。3つの話が絡まってゆきます。中心にあるのは「女二人だけの芝居」。
同じく演劇がテーマの「中庭の出来事」は複雑すぎて戸惑ったのですが、やー、こちらは面白かった。少しずつ物語が繋がっていく様といい、迫真の演技の描写といい、お見事。クライマックスで霊感入っちゃったり、結局は“選ばれし人”の話だったり、嫌う人は嫌うであろう恩田さん特有の要素は健在なのですが、それを補ってあまりある文章力をしっかり味わえる作品です。おすすめ。
二冊目。『木洩れ日に泳ぐ魚』
チョコレートは続きが気になって先に先にと進みたくなる物語ですが、こちらはジリジリとした緊張感をゆっくりと味わいたい作品です。できれば静かな場所で、誰にも邪魔されないところでじっくりと。
舞台はアパートの一室。翌日に引っ越しを控え、荷造りを済ませた部屋で、スーツケースを卓袱台がわりに最後の酒を酌み交わす男女。別れの日を前に、過去の死亡事故について相手の真意を探り合う二人。傷つけ合いながら少しずつ明らかにされていく真実とは――というお話。
チョコレートを読んだあとだからかもしれませんが、舞台化したら面白いんじゃないかなぁと思いました。こちらもおすすめ。
2008.08.06
竜騎士07 『ひぐらしのなく頃に 第1話 鬼隠し編』
![]() | ひぐらしのなく頃に 第1話 鬼隠し編 上 (講談社BOX) (2007/08/02) 竜騎士07 商品詳細を見る |
やー、暑いですね。あっついし、大雨は降るしで、もう大変。
おかげさまで読了本が貯まってしまいました。いや、特に意味はないですが。
というわけで、ダダダっといきます。
まずは、ひぐらし。同人ゲームのノベライズですね。
私はゲームはやったことがなく、コミックスでちょっとだけ読んだだけなんですが、やたら人気があるそうなので、図書館にて予約。3か月待ちでようやくゲットです。第一話の上下巻を読みました。
内容はですね。高校生の男の子が田舎に引っ越して、そこの村で毎年起こる怪事件の噂を聞き、興味を持つうちにあああああああああっという話です。あああああああああっで終わってるので、一話だけ読んでも物語の全貌はつかめません。二話を読めばわかるのでしょうか。それとも最近出たらしい、「解」というのを読めばいいのでしょうか。読めばわかりますね。はい。
作者はプロの小説家ではないので、文章に期待してはいけません。美少女さんたちがたくさん出てきて、主人公は!!ばっかりで、まさにギャルゲの乗り。なんですが、ストーリーの持って行き方がうまいので読めます。というか続きが気になります。主役級は3人*****たし。第二話も予約済みなのですが、いつ来るかなぁ。
小説を読むのではなく、ゲームを楽しむ感じで読めばよろしいかと思われます。
2008.07.30
福井晴敏 『Op.ローズダスト』
![]() | Op.ローズダスト(上) (2006/03/14) 福井 晴敏 商品詳細を見る |
久しぶりの福井晴敏。「亡国のイージス」「終戦のローレライ」が映画化されて有名になりましたね(戦国自衛隊については敢えて触れません)。
上記2作品もそれなりに面白かったんですが、本作は予想以上のクオリティ。
いやー、面白かったですよう。読み応えあるし。心配してた超能力も出てこなかったし。
っと、内容はですね。テロリストものですね。ある事件をきっかけに別の道を進むことになった元戦友たちが、敵同士になって再会。片方は日本の古い体制を壊滅させるべく武器を取ったテロリストとして。もう片方は、それを阻止すべく現場に送り込まれたダイス一員として。
(ダイスというのは福井作品によく出てくる、架空の団体です。防衛庁所属のスーパー工作員てな感じでしょうか。違法行為もなんのその。汚い仕事もやっちゃいます)
フィクションにおけるテロリストというのは自滅型なのがお約束。ローズダストも例にもれずそうであり、自滅していく様がなんとも物悲しい。彼らの言い分もわかるよね。もちろんやり方は間違っているんだけれども。なんて思いながら読む FINAL Phase はじわじわと涙腺を刺激してくれました。展開はベタなのにっ!悔しいっ!
ダイス及び新型兵器云々は別として、この作品に描かれている日本は、実際の日本の現状そのままな気がします。一夜にして1割が7割に転じる国、だったかな?確固たる信念ももたず、ただ流されるだけの平和ボケした国民。戦争反対をファッションのように唱えつつも、いざ外敵が出現すれば、簡単に軍国主義へとなびいてしまう。見たくないものは見ない。楽しいことだけを考える。困ったら声の大きな人に従う。それが当たり前であり、自己主張する人は異端視される。そんな風潮がありますよね、この国には。
もしも核に次ぐ新型兵器が開発されたら。もしもローズダストのようなテロリストが日本に現れたら。
現実に起こってはならない“もしも”をも体験できるのが小説の良さです。もしもこの国がこのまま流されていったら。可能性のうちの一つがこの作品の中にあります。忍びでサナギなあなた。体験してみてはいかがでしょうか(唐突に名指し。
2008.07.23
宮城谷 昌光 『太公望』
![]() | 太公望〈上〉 (文春文庫) (2001/04) 宮城谷 昌光 商品詳細を見る |
やーやー、お久しぶりでございます。
最近、風邪ひいたり、とある楽しいことに現を抜かしたりで、読書が疎かになっておりました。某方面にもあまり出没してないしね!そっち方面の方々、ご無沙汰しております。霧笛は元気です。
えー。
「太公望」であります。歴史もの、特に中国ものは苦手な私ですが、とある方に「こいつは面白いよ」と薦めていただき、チャレンジしてみたとです。
他の本を併読したり、途中興味が逸れたりなんかしましたが、ようやく!読み終わりました!(パチパチ
物語は、6人の少年少女が燃える森を駆け抜けるシーンから始まります。少年たちのリーダーは望。商王に一族を殺され復讐を誓う羌族の生き残り、のちの太公望であります。敵にとらえられたり、味方に助けられたりしながら、着々と力をつけてゆく望。離れ離れになり、そしてまた邂逅するかつては少年だった者たち。時は満ち、大軍を率い、いざ商都へ――というお話。
感想はですね。やっぱり中国ものは苦手、なんですが!やー、意外と楽しく読めましたですよ。
冒頭の追手から逃げるシーンでドキドキし、3ページ目の挿絵の望にがっかりし(なんというモンゴル力士)、いやいや萌えキャラ描かれるよりはまだマシだろうと思いなおし、次から次へと繰り出される望のモテ話に目を見張り、さらにはライバルっぽい立ち位置の彪くんと、紅一点の継ちゃんの動きをじっと見守りつつ、挿絵変えたらもっと売れるんでない?とか思ってるうちに読了しましたです。
文体もサラっとしていて好みでした。戦闘、蘊蓄、青春要素、どれも程よくバランスが取れている印象。
あとはですね、いくつか深い言葉があったような気がするのですが、例によってメモを取ってないので記憶の彼方なんです。良いこと言うなぁと思ったのがあったんだけど。
あ、一つ発見。
神の力を借りず、法の力を過信せず、族内を治めてゆくには、族長が徳を積んでゆかねばならぬこともさることながら、族人に理想を明示することである、と望は気づいていた。
この時点での望の族は、本来の羌族だけでなく、別の部族を多く受け入れた混合集団であります。血も歴史も共有せず契約も利害もない、個人の信頼関係だけでまとまっている集団。これを治めるには法でも力でもなく、長の理想という精神的な目標を共有することが大事である、と。
深いですねぇ。今の日本には果たして理想なんかあるのかしらとチラっと思ってしまいました。
そんなこんなで、久しぶりのレビューでたどたどしかったりしますがこの辺で。
最後になりましたが、この本を紹介してくれた方、ありがとう!
トラバっちゃおうかと思いましたが、そういやリンクの件も話してなかったことを思い出し、自重いたしましたっ。そちらはまた追々… ・w・ニヤリ









